【本】子どもが絵を描くとき(著者:磯部錦司)
「ハサミで自由に画用紙を切り取る」
「木片をかき集めて偶発的な形の中に意味を見出す」
「校庭にさく花を画用紙一杯に描く」
昔から何かを【創り出す】ことが好きだった。
型にとらわれず自由にゼロから構築していくことは快感だった。
なんとも言えない開放感があって
大人になってからもその快感をどこか求めていながら
何かしらの言い訳を見つけながら社会人になるまでやり過ごしてきた。
社会人になり、絵を描くようになった。
ずっとどこかで描きたいと思っていながら、
絵なんて私には描けないし、描くことを恥ずかしいと思っていた。
でも、絵を描きたいと思っていることにどこかで気がついていた。
人が絵を描く意味はなんなのだろうかという疑問がずっとあった。
そんなとき、「子どもが絵を描くとき(一藝社)」という本に出会った。
「自分の存在を確かめる営み」「環境との一体化において生まれる行為」
子どもが絵を描く意味を著者はこう述べている。
「描くことによって全身で環境と結びつき、その感覚を表そうとしている」
自分が【創り出す】ことをどこかでずっと求めて来た理由がなんとなくわかった気がした。
社会の「定型」に習っている自分が本当に感じていることは何か、
自分の中の本当をいつも探していた。
【創り出す】ことをしている自分には、社会の「定型」なんて関係がなかった。
【創り出す】ことを通して、自分の中を通して、
自分を取り囲む環境を認知し、そして自分の感覚を認知する。
認知する前に結論を出すことも多かった。
でも、認知する前に出す結論はは自分の一部にすらなれない。
それは、誰かの考えであって、私ではない。
そう思いながらも、「定型」にならっていた。
自分であって、自分じゃない。
そんなことをどこかで感じている人が、多い気がする。
描くという根源的な行為を通して、
自分が見つかるヒントをくれる本かもしれない。
是非、ご一読を。