【展示会】「とんぼ と のりしろ」(杉戸洋)
「抽象と具象を行き来するような作品。」
そう紹介されている杉戸洋という人の作品が気になり
上野の東京都美術館で行われている展示会に足を運んだ。
あそびごころと、
バランス感覚と、
それと喪失感を持つ人。
杉戸さんの作品を見ていて、そんな印象を受けた。
深みのある赤や青、緑とバランスよく崩れたモチーフは
観ている人を違う世界へ引き込む。
次から次へ目移りするファンタジックな世界。
絵画の表面のザラつきや凹凸、筆の向かう方向から、
描かれている空間やものを感じる。
目の前にある物との戯れに没頭する無垢な作者の遊び心に
自然と微笑んでしまう。
その世界に突如現れる写実的な光景と色のないパーツ。
ファンタジックな世界に入り込んでいたのに、
突然現実の世界に引き戻される。
現実の世界に引き戻されると、
ただ虚構感と喪失感にかられる。