【展示会】花森安治の仕事 デザインする手、編集長の眼
世田谷美術館で開催中の展示
「花森安治の仕事 デザインする手、編集長の眼」に行ってきた。
昨日NHKの番組「日曜美術館」で取り上げていた花森安治。NHKの朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でヒロインと共に出版社を立ち上げる花山伊佐次のモデルとなった人だ。番組の中で見た花森に対して、「しあわせを共有する天才」という印象を持った。
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番組の中で、モデルで雑誌の編集も行っている菊池亜希子が花森の作品を見て言った言葉がある。
「同じ編集者として、悔しいですね」(菊池亜希子)
私は編集者ではないけれども、
花森の生み出す作品を見ていて、菊池亜希子と同様悔しくなった。
花森の作品には、どれも花森の「手」を感じる。
特別な技術を使うわけでもなく、
誰でも手にできる道具で作品を仕上げている。
にも関わらず、
花森の作品は私を置いてきぼりにするのだ。
すぐ隣にいて触れられそうと思うのは一時、
到底追いつけそうもないことに気づく。
一番悔しかったのは、暮しの手帖の傘を並べたカバー写真
色とりどりの傘を閉じたまま、斜めに立てる
傘のそんな姿、初めて見た。
花森の作品は、いつもそこにあるものの「初めて」を見せてくる。
追いつけそうで全く追いつけない人だ。
そう思う一方で、花森の作品を見ていると、
「私にもできる気がする」
そう思えてしまうのだ。これが花森の凄さだ。
どうにもこうにも自分にはできない、
そう思わされるものであれば諦めがつく。
でも、花森の作品は手が届かないのに、届きそうなのだ。
だから悔しいのだ。