【映画】恋せども、愛せども(監督:堀川とんこう)
「恋せども、愛せども」
唯川恵の小説を映画化した作品。
色々な理由からとある女性に育てられることになった二人の姉妹。
姉妹といえども、父・母が違う、性格も真逆な二人。
姉妹、姉妹を育てた母、そしてその母の母。
大人の女性、4人の生き様を描いた作品。
「ども」
この接続助詞がこのお話の結論、そう思う。
ヒットドラマのような綺麗なハッピーエンドは、現実の世界ではそう多くない。
みんないろんな事情があって、
それでもその中に自分なりの意味を見出しながら今日を生きる。
その積み重ねがきっと人生なんだろうな、と最近思う。
この映画に出てくる女性は、
現実を受け止め、
自分のために、今日を生きている。
現実を受け止めることも、
自分のために生きることも、勇気がいる。
まっすぐな思いが報われないことがわかっていても、
自分の思いを一番に、直向きに恋をする、愛する、取り組む。
そんな女性を描くこの映画は、
世の中の女性をそっと勇気づけてくれる。
【映画】百円の恋 (監督:武 正晴)
主人公はでもでも私なんか系女子、
だった。
「私は、勤め先の百円コンビニに並んでいる商品と同じような軽い存在なんです。」とかでもいいそうな底なしの自信のなさを一子(主人公)から感じる。
そうはいっても、自分を全否定できるほど自尊心がないわけでもない。
今すぐにでも纏めあげたいほどごわついた長い髪、
クッションのような丸みを帯びたお腹周り、
出戻りの妹との喧嘩をきっかけに一人暮らしを始めた一子は変わり始めた。
一子は、痛みから逃げなくなった。
痛みに向かっていくようになった。
ボクシングを始めた。
男にしがみつくことも、
自分なんかと卑下することも、なくなった。
それでも、やっぱり痛かった。
髪もお腹周りも すっきりしたのに、
軽々と動けるようになったのに、
やっぱり殴られると痛かった。
「やっぱり私は弱い」
そう言える人間が一番勁い。
【映画】今度は愛妻家
妻の存在を当たり前に思いやりたい放題やっていた夫。
その夫が突然妻を失い、妻の存在の大きさに気付かされるというストーリー。
妻が亡くなった後にその大切さに気付いた夫、
なくなって初めて夫が自分のことを大切に思っていたことを知った妻。
この映画は二人の行き場のない思いをそっと撫で下ろす物語だった。
2つの行き場のない感情が漂うシーン。
主人公ふたりの気持ちには言葉では寄り添えず、
感情でしか寄り添う方法はないように思った。
失うべきものを失うことは、受け入れられる。
失う必要がないもの、失うべきでなかったものを失うことは受け入れ難い。
【習い事】油絵第1作目、完成しました。
油絵、第1作目が完成しました。
どこまでで完成とするのか迷いましたが、
第1作目はここで完了としました。
最後の仕上げでガラスの重厚感をアップさせることができ、
その点は満足しております。
次に描くものは何にしようか考えているのですが、
あまり描きたいものがないことに気づきました。
描く作業が好きなだけで、
描くものにあまり興味がないのかもしれません。
写真を撮る過程に興味がある、
出来上がった写真にあまり興味がないと言っていた友人の言葉を思い出しました。
絵を描くこと、写真を撮ることは、
自分の輪郭を確かめる作業であると私は思います。
自分が目にしているもの、被写体の輪郭をなぞり直すと自分の癖が見えて来る、
そんな気がしています。
ずっと何かを描きたいというモチベージョンが自分にはあるのかと思っていたのですが、どうやら少し違うみたい。
やって見ないとわからないものですね。
【映画】あん(監督・脚本:河瀬直美)
竹籠の網目とすり合う小豆、
ぐつぐつぐつと静かにひたすらに煮立つ小豆、
主人公に手一杯掬い上げられた水飴
いつだって食べ物の映像は、
じんわりと幸せを伝えてくる。
それ以上でもそれ以下でもない深い幸せを感じる。
映画「あん」には誰にも奪うことのできない幸せが描かれている。
まだ若くて「幸せ」を奪われたばかりの主人公に、
奪われない幸せについて、餡を通してお婆さんはそっと伝える。
ハンセン病患者として若い頃からずっと「幸せ」を奪われ続けていたお婆さんの
幸せは、誰の手にも掛けられないほど高くて、掴もうとしてもつかめない。
むしろそれを掴むことは意味のないこと。
それは特別なものではなくすべての人の隣に、そこにいつでもあるものだから。
そこにあることに気がつくことができれば、
もう誰にも幸せを奪われることはない。
そう勇気付けられる映画だった。
掴むから、手放すのが怖くなる。
そこにあることを感じられれば、消えてなくなることはない。
【習い事】初めての絵画教室(第三・四回目) & 油絵の道具、揃えました
油絵の体験教室、全4回を修了。
第3回目は前回と同様に白黒で明暗を書き入れ、
第4回目は白黒の絵に色を足していきました。
自分が納得できる仕上がりまで全4回で持っていくのは難しかったけれども、
一応らしいものは完成。
中学校以来、筆を持って絵を書いたことが一度もなかった私ですが、
この程度の絵は描くことができました。
先生にも手を入れて貰い、随分らしくなりました。
油絵教室、通うことにしました。
新宿の世界堂に行き道具を揃えました。
初心者用のセットになっているものもあり、
バラで買うよりやはりお買い得だと思います。
(私はバラで買ってしまいました)
木箱が多いですが、木箱が高かったのとこのケースの中が小分けになっている点がよくこれにしました。
こんな感じで絵の具や筆、ペーパーパレット、油等々入っています。
追記:
描きたいものを集めるために、写真を撮り貯めようと思っています。
自分が何を見ているのか、何を描きたいのか、少しはヒントをくれそうな気がします。
【映画】何者 (監督・脚本:三浦大輔)
「 嫌な映画を見てしまった。」
映画「何者」を見た後しばらくの間、
何度もそう思った。
就職活動をする学生たちの葛藤を描いた映画。
いい映画ではなく、よくできている映画と言いたくなるほど、
リアルな描写だった。
学生はそれぞれ理想を持っていた。
理想があり、それに近づこうとしていた。
でもその理想を実現するには、現実と向き合うことから始めることが求められる。
現実はあまりにも理想とかけ離れていて、
目を背けたくなるほど、痛々しい。
だから、つい、理想ばかりに目を向けてしまう。
でも、それでは何者にもなれない。
痛々しくても、現実と向き合うことでしか、
理想を実現する道はないと登場人物が気づき映画は終わる。
理想が高い人ほど、現実と向き合うことは辛いことだと思う。
理想が高い人は、最後の最後まで理想ばかり追い求めてしまうのかもしれない。
でも、それほどの理想を持つヒトが現実と向き合えば、
もっとも理想に近付けるヒトになれると思えるような希望を感じた。
映画「何者」の話ではないが、
「アーティスト症候群---アートと職人、クリエイターと芸能人 」という
これもまた"嫌"な本がある。
アーティスト症候群---アートと職人、クリエイターと芸能人 (河出文庫)
- 作者: 大野左紀子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/07/05
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"アーティスト"になりたい人にはぜひ読んでほしい本だ。
この本を最後まで読めるヒトが、
もっともアーティストに、理想に、近いヒトだと思う。
理想には怪我をしながらでも、自分の足で近づいていくしかない。
それをやり抜いた前"アーティスト"の言葉が詰まった本だ。
理想を持つことは、痛々しい自分と向き合うこと。
それでも、やはり、理想は持ちたいと思う。