週末美術部員

素人の美術だより。

【映画】何者  (監督・脚本:三浦大輔)

 

「 嫌な映画を見てしまった。」

 

映画「何者」を見た後しばらくの間、

何度もそう思った。

就職活動をする学生たちの葛藤を描いた映画。

いい映画ではなく、よくできている映画と言いたくなるほど、

リアルな描写だった。

 

学生はそれぞれ理想を持っていた。

理想があり、それに近づこうとしていた。

でもその理想を実現するには、現実と向き合うことから始めることが求められる。

現実はあまりにも理想とかけ離れていて、

目を背けたくなるほど、痛々しい。

だから、つい、理想ばかりに目を向けてしまう。

でも、それでは何者にもなれない。

痛々しくても、現実と向き合うことでしか、

理想を実現する道はないと登場人物が気づき映画は終わる。

 

理想が高い人ほど、現実と向き合うことは辛いことだと思う。

理想が高い人は、最後の最後まで理想ばかり追い求めてしまうのかもしれない。

はたから見ると地に足が付いていない人、だ。

でも、それほどの理想を持つヒトが現実と向き合えば、

もっとも理想に近付けるヒトになれると思えるような希望を感じた。

 

映画「何者」の話ではないが、

アーティスト症候群---アートと職人、クリエイターと芸能人 」という

これもまた"嫌"な本がある。

アーティスト症候群---アートと職人、クリエイターと芸能人 (河出文庫)
 

"アーティスト"になりたい人にはぜひ読んでほしい本だ。

この本を最後まで読めるヒトが、

もっともアーティストに、理想に、近いヒトだと思う。

理想には怪我をしながらでも、自分の足で近づいていくしかない。

それをやり抜いた前"アーティスト"の言葉が詰まった本だ。

 

理想を持つことは、痛々しい自分と向き合うこと。 

それでも、やはり、理想は持ちたいと思う。

【映画】光(監督・脚本 河瀬直美)

 

エンドロールが終わるまで、誰も席を立とうとしなかった。

映画「光」(監督・脚本 河瀬直美)の余韻は、

映画が終わってもなかなか消えていかなかった。

 

音声ガイドの女性と視力の失いつつあるカメラマンのラブストーリー、

という内容の紹介文のこの映画。

ラブストーリーにして欲しくなかったというのが私の感想だ。

ラブストーリーというだけで映画を見る前・映画を見た後も、

トーリーを理解した気がしてしまう。

「愛」ていう無敵最強な武器で、一気にこの話の深みも片付けられてしまう気がする。

 

疾うにないものを、まるであるかのように振る舞い続ける。

崩れ始めた時には想像力で、狂いで「現実」を構成しなすことができていたかもしれない。

でも崩れきってしまったら、受け入れて真っ暗な時をくぐり抜けてその先の光を見せられて、ただ歩くんだ。

齢を重ねた人にそう言われた気がした。

 

素敵な映画だった。何よりも美しかった。

「部屋に差し込む夕日、夕日を部屋に拡散させるプリズム。」

音声ガイドが伝えるのはここまで。

目が見えなくても、プリズムの光を感じることはできる。

光を感じるからこそ、美しいと人は思う。

言葉に置き換えられることは多くない、と思う。

 

映画を観る意味・絵を書く意味・写真を撮る意味は、

そこにあるのだろうか。

 

 

【習い事】初めての絵画教室(第二回目)

 

絵画教室で全4回の油絵教室を体験中。

全4回のうち、1回目は下絵を書くところまで、2,3回目は白と黒を入れ、白黒写真のような絵にする。そして4回目は白と黒以外の色を入れて作品完成する、というスケジュール。

 

【体験1回目】

左奥に置かれているガラス瓶などをモチーフに鉛筆で描いた下絵

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【体験2回目】

下絵に白と黒を入れている途中。

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絵画教室の先生には、

「白は筆使いで、

黒は白と混ぜ合わせることで、

濃淡を表してください。」

と言われた。

筆の使い方は、重ねて塗る方法と少し浮かしながらこする感じで塗る方法の二つだった。まずは、物自体が白のものと、丸い飾りに映り込む蛍光灯などの強い光を描き込んだ。

ラベルの白、机の白、物自体は二つとも同じ白だが、机には使い込んだ後がある。一方、ラベルにはあまり傷や汚れがない、印刷されたばかりのままの白。ラベルはつるんとした表情にするために、筆をただ横に流した。机は部分部分で若干変わる色にしたくて、筆先だけでスタンプするような描き方にした。

 

当たり前のように存在しているものを、改めて観察し直すことはとても面白い。言葉にしなくとも視覚だけで色んな情報を認識していることを改めて知る。

 

 

【イラスト】水彩画:グラス

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水彩画:グラス

 

【展示会】坂本龍一  設置音楽展

 

2017年4月4日(火)から5月28日(日)までワタリウム美術館で開催している

坂本龍一 設置音楽展 ryuichi sakamoto async」に行ってきた。

 

生活音を使った音楽、

という言葉に惹かれ気になっていたこの展示。

この展示で使われている音楽は「async」というアルバムに収録されている。

実際に展示会に行き、受けた音楽の印象は

生活というよりもむしろ、人生、だった。

 

展示は2階から4階にかけて行われている。

美術館の2階から3階そして4階と上がるたびに、

ライフステージも変わっているように感じた。

 

 

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2階、

一人の人間が抱く様々な感情、

それと、その感情を引き起こした出来事。

二つの軸は並行していて、時折入れ替わりながら話が進んでいく。

リアルで生々しいのに、その様子を冷静に見ている自分がいる。

 

3階、

人がいない部屋は人がいる部屋よりも人を感じさせる。

終わりがないように感じていた生活を

その生活に終わりがあることを知った自分が見ている。

「ああ、あの時はよかった」とか、

様々な出来事を思い出すなどはなく、ただ見ている。

 

4階、

そしてまた、新しい物語へ向けて準備が始まる。

光がだんだん大きくなり、着地する場所を見つける。

それから先の記憶はきっとない。

 

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あくまでも個人的な意見だが、

「状態」に溺れる音楽だと思った。

それと、宗教的な音楽だと感じた。

具体的な宗教ではなく、

むしろ様々な宗教を包括できる大きな意味での宗教。

 

私は音楽のことをよく知らない。

それでも、ただこんな素敵な音楽を作れる人間がいることに驚く。

 

 

【習い事】初めての絵画教室(第一回目)

 

 

27歳になり、初めて油絵に挑戦しています。

 

 

学生の頃は毎日なんだか騒がしく、

素直に自分の好きなことに向き合えていなかったように思います。

本当ならば選択肢は無限大で好きなことができる自由な時間なはずなのに、

何者かになろうと躍起になっていました。

すぐに形にしようとばかりして、

焦って焦って、結局何にも没頭できなかった。

好きなこと探しばかりしていて、

本当に好きなことをすることを忘れていた。

 

単純に、やりたいことをやっていたらいい。

そしたらどうありたいのかは見えてくる、と学生時代の自分に言いたい。

社会人になったからと言って何かが大きく変わったわけではないけれど、

平日は好きなことばかりできるわけではない、

だから休みの日は本当に好きなことをやろうと思うようになりました。

 

 

 

だから、27歳になり、初めて油絵に挑戦しています。

 

 

絵画教室に行って油絵の体験をしてきました。

教室は古いビルの三階。

ビルの中に入ると絵の具の匂いがしました。

教室に付き「体験に来ました」というと、

説明もなくすぐにキャンパスの前に案内されました。

モチーフを用意してくださり、

「まず今日は下書きまで完成させましょう」と一言。

同じようにその日体験に来ていた高校2年生ぐらいのつるんとした女の子は、

そう先生が言うと、早速すごい勢いで書き始めた。

一方、私はモチーフをどう枠の中に配置するかで小一時間。

その後も物の大きさや角度などを微調整し続けあっと言う間に三時間がすぎた。

 

鉛筆でもの輪郭を書き、

その上からフィキサチーフというスプレーをかけて

鉛筆で書いた下書きが消えないようにしました。

そのあと、テレピン油で溶いたこげ茶色の絵の具でキャンパス全てを塗り、

ひとまず1回目の体験は終了。

 

 

少しでもイラストを普段から書いていてよかったと思った。

絵を書く時に必要なのは、もののを観察すること。

 

 

そのものがどう見えているか、

周りのものとのバランスはどう取れば良いか、考えて書くこと。

そんな絵を書く上での常識的なところを事前学習していなかったら、

キャンパスを前に何も手を動かせていなかっただろう。

先生は油絵自体は初めてかどうか聞いてきたが、

それ以上何も聞かなかった。

自由だ、と思う一方で、「初めてなんです。」と弱気になる暇もなく、

自分の実力を試された気がした。

やっぱり自由だ。

普通社会に出ると何をしてきたのか、まずは説明から始まる。

それがないだけなのに、自由と感じた。

 

 

 

 

 

 

【イラスト】スケッチブック

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ア スケッチブック イン ア スケッチブック